約10年間勤めた大企業を辞め、少人数のベンチャー企業へ転職しました。
安定した会社から、まだ成長途中の小さな会社へ。
周囲から見れば、少しリスクのある選択だったかもしれません。
実際に働いてみると、以前では考えられなかったような経験が増えた一方で、大企業にいた頃には感じなかった難しさやプレッシャーもあります。
それでも、今のところ転職を後悔したことはありません。
今回は、転職を決断した理由ではなく、実際に転職してから感じたメリット・デメリット、そして仕事に対する考え方の変化について書いてみたいと思います。
大企業からベンチャーへ転職して感じた3つのメリット
1. 経験できることの幅が圧倒的に広がった
転職して一番よかったことは、経験の幅が大きく広がったことです。
前職でも多くのことを学びましたし、約10年間働いた経験は今の自分の土台になっています。
ただ、長く同じ仕事を続けるうちに、業務に慣れ、ある程度先の展開まで予想できるようになっていました。
一方、今の会社では、初めて経験する仕事が次々と出てきます。
新しい事業の立ち上げにも関わり、すでに用意された仕組みの中で成果を出すだけではなく、仕組みそのものを考える立場になりました。
例えば、限られた予算をどこに使うべきか。
今の事業に足りないものは何か。
無駄なコストはないか。
新しいシステムを導入するときには、機能や費用だけでなく、現場で働く人が理解しやすく、継続して使える仕組みになっているかも考えます。
経営側が描く理想と、現場で実際に運用できることは、必ずしも同じではありません。
その両方を意識しながら、事業をより良くする方法を考え、行動する。
以前の自分なら、こうした仕事に関わることすら想像していなかったと思います。
決められた仕事をこなすだけでなく、仕事の進め方そのものを考え、つくる立場になった。
これが転職して得られた大きな変化です。
2. 経営者の考え方を身近で学べるようになった
もう一つ大きいのが、経営者との距離です。
大きな組織では、経営トップがどんな人物で、何を考えて意思決定しているのか、なかなか実感できませんでした。
会社の方針や経営理念を聞く機会はあっても、その言葉の背景にある本当の考え方までは見えにくかったように思います。
今は経営者と近い距離で仕事をしています。
日々の会話や判断を通して、何を重視し、どのような考えで会社を動かしているのかを身近に感じられるようになりました。
事業を成長させるためには何が必要か。
限られた人員や予算をどう活用するか。
目先の成果だけでなく、将来の会社にとって何が大切なのか。
以前は自分の担当業務を中心に考えていたことも、今では会社全体の視点から考える機会が増えました。
もちろん、経営者と同じ視点を完全に持てているわけではありません。
それでも、自分の仕事が会社の未来にどうつながるのかを考えるようになったことは、大きな成長だと感じています。
3. 仕事に対する「使命感」が生まれた
前職でも、会社のために仕事をしているつもりでした。
ただ、振り返ってみると、どこかで自分自身の評価や成果のために働いていた部分が大きかったように思います。
今も、自分の成長や生活のために働いていることに変わりはありません。
でも、それだけではなくなりました。
会社を大きくしたい。
今取り組んでいる事業を成功させたい。
そのために自分には何ができるだろうか。
そんな使命感のようなものが生まれています。
小さな会社だからこそ、一人ひとりの行動が事業に与える影響も大きい。
誰かが会社を成長させてくれるのを待つのではなく、自分たちで成長させていく。
仕事を「与えられるもの」ではなく、「自分たちでつくるもの」と感じられるようになったこと。
これが、今回の転職で最も変わった部分かもしれません。
ベンチャーへ転職して感じた3つのデメリット
もちろん、ベンチャー企業で働くことには難しさもあります。
大企業にいた頃には当たり前だった環境が、実はとても恵まれていたのだと感じる場面もありました。
1. 会社の安定感は大きく違う
一番の違いは、会社の安定感です。
前職のような大きな会社では、日々の仕事をする中で、会社そのものがなくなる可能性を強く意識することはほとんどありませんでした。
一方、成長途中のベンチャー企業では、事業を継続し、会社を成長させていくことが常に重要になります。
自分たちの働く場所を、自分たちでつくり続けなければならない。
そんな感覚があります。
安定を最優先に考える人にとっては、大きなデメリットだと思います。
ただ、私にとっては、その不安定さが仕事への当事者意識にもつながっています。
安定した環境で働けることにも価値がある。
一方で、自分たちの行動が会社の将来に直結する環境にも、別の魅力があると感じています。
2. ルールや仕組みが十分に整っていない
大企業では、仕事の進め方やルール、マニュアルなどが整備されていました。
困ったときに確認できる仕組みがあり、一定の品質で仕事を進められる環境です。
今の会社では、そうした仕組みが十分に整っていない場面もあります。
「これはどう対応するのか」
「誰が担当するのか」
「今後はどんなルールにするのか」
その都度、自分たちで考える必要があります。
また、意思決定から行動までのスピードが速く、まずはやってみて、細かな運用方法は後から考えることもあります。
大企業の感覚からすると、少し行き当たりばったりに感じることもあります。
ただ、変化の速さは小さな会社の強みでもあります。
大切なのは、行動の速さを失わずに、必要な仕組みを整えていくこと。
今は、そうした課題にも向き合うことが、自分の仕事の一つだと考えています。
3. 裁量が増えるほど、責任とプレッシャーも大きくなる
転職して感じたもう一つの大きな違いは、仕事に対する責任の重さです。
今は事業の運営にも関わっているため、思うように成果が出ないときには、大きなプレッシャーを感じます。
例えば、お客様からの問い合わせが減り、営業担当者の仕事が少なくなってしまうことがあります。
そんなとき、単に「最近は問い合わせが少ないな」で終わるわけにはいきません。
価格設定に問題があるのか。
季節による需要の変化なのか。
地域によって異なる市場の動きを、十分に捉えられているのか。
それとも、広告やサービスの見せ方に改善できる部分があるのか。
外部環境と自分たちの取り組みの両方から原因を考え、次の施策を検討します。
特に価格設定は、自分が大きく関わっている部分です。
正解が分かっていれば簡単ですが、実際には、考えて実行したことが必ず成果につながるわけではありません。
むしろ、うまくいかないことも少なくありません。
そんなときは、責任の重さを強く感じます。
ただ、経営層の方から「うまくいかない経験も、将来の自分の強みになる」と声をかけてもらったことがあります。
その言葉には、救われました。
結果が出ないことを前向きに捉えるのは簡単ではありません。
それでも、原因を考え、試行錯誤し、次の行動につなげていく経験は、確実に自分の中に積み重なっていくはずです。
裁量が増えることは、自由が増えることだけではありません。結果に向き合う責任も増えるということです。
それでも私は、今の環境で得られる経験に価値を感じています。
大企業からベンチャーへ転職して後悔はある?
結論から言うと、今のところ後悔はありません。
もちろん、仕事がすべて順調というわけではありません。
仕組みが整っていないことも、会社の将来を自分たちでつくっていかなければならないことも、簡単ではありません。
それでも、前職では得られなかった経験を積めていることに、大きな価値を感じています。
給与についても、転職によって劇的に増えたわけではありません。
それでも、生活に必要な水準は確保できています。
そして何より、これから会社や事業が成長していく可能性に、わくわくしています。
将来が保証されているわけではないからこそ、自分たちでその未来をつくっていきたい。
今はそんな気持ちで働いています。
もっと早く転職すればよかったとは思わない
転職して後悔がないなら、もっと早く行動すればよかったのではないか。
そう思う人もいるかもしれません。
でも、私はそうは思っていません。
前職で仕事への違和感を覚えてから、実際に転職するまでには長い時間がかかりました。
仕事に楽しさを見いだせなかった時期もあります。
将来への不安を感じながら、それでもすぐには行動できませんでした。
当時は、その時間がもったいないようにも感じていました。
でも、もし最初に違和感を覚えたときに転職していたら、今の会社には出会っていなかったと思います。
悩んでいた時間があったからこそ、自分が仕事に何を求めているのかを考えられた。
資格を取得し、資産形成を続け、少しずつ次の選択に備えることもできました。
そして、自分が本当に挑戦したいと思える環境に出会えました。
だから、当時の自分に声をかけるなら、こう伝えたいです。
「長い時間悩んだけれど、それでよかったんだよ」
充実感を持てなかった日々も、不安を抱えていた時間も、今の自分につながっています。
遠回りに見える時間にも、きっと意味がある。
今はそう思っています。
大企業からベンチャーへの転職を考えている人へ
今回の転職を経験して感じるのは、大企業とベンチャーのどちらが優れているかという話ではない、ということです。
大企業には、安定した経営基盤や整った制度があります。
ベンチャーには、変化の速さや仕事の幅広さ、自分の行動が事業に直結する面白さがあります。
どちらが合うかは、その人が何を大切にしたいかによって違うと思います。
安定した環境で専門性を磨きたい人もいれば、変化の中で新しいことに挑戦したい人もいるでしょう。
大切なのは、会社の規模だけで判断するのではなく、その環境で自分はどんな働き方をしたいのかを考えること。
そして、転職することだけが正解ではありません。
今の環境で経験を積む時間も、将来の選択肢を増やすための準備になるかもしれません。
私自身、長く悩んだ時間があったからこそ、今の選択ができたと思っています。
実際に、ベンチャー企業に対するイメージにも、魅力と不安の両方があるようです。
「就活の教科書」が26卒・27卒の就活生200人を対象に行った調査では、ポジティブなイメージとして「成長スピードが速い」(34.0%)、「社員の裁量が大きい」(33.0%)が挙げられています。
一方で、「経営の安定性が低い」(35.5%)、「福利厚生の不足」(31.0%)といった不安も上位でした。
新卒就活生を対象とした調査なので、転職希望者とは状況が異なりますが、私が実際に感じたメリット・デメリットとも重なる部分があります。
まとめ|安定を手放して得たもの
大企業からベンチャーへ転職して、会社の安定感や整った仕組みなど、失ったものもあります。
一方で、経験の幅、経営者に近い視点、事業を成功させたいという使命感を得ました。
そして、何より大きいのは、これからの自分と会社の成長を楽しみにできていることです。
転職してよかったかどうかは、きっと数年後に振り返ったとき、また違う答えになるかもしれません。
それでも、今の私はこの選択に後悔していません。
過去に悩んだ時間も、決断までの遠回りも含めて、今の自分をつくっている。
人生には、誰にでも同じ正解があるわけではありません。
だからこそ、自分が納得できる選択を少しずつ積み重ねていきたい。
昨日の自分より、一歩前へ。
これからも、その気持ちを大切にしていきたいと思います。
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私が約10年間勤めた会社を辞め、ベンチャー企業への転職を決めた経緯については、以前の記事で詳しく紹介しています。


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