100万円あれば、人生は変わると思っていた。
「働かなくても、お金が入る人がいる。」
社会に出て、私が最初に驚いたことでした。
仕事を通して、家賃収入だけで生活している人や、生まれたときから資産を持っている人たちと出会いました。
世の中には、自分の知らない世界がある。
その事実は、私の価値観を大きく揺さぶりました。
一方で、私は特別な才能も、資産もない、ごく普通の会社員でした。
「このまま昨日と同じ毎日が、ずっと続くのかな。」
変わらないことに、漠然とした不安を感じていました。
だから私は、人生を変えたい一心で100万円を貯め、株式投資を始めました。
あの頃の私は、お金が増えれば人生は変わると本気で信じていました。
でも、本当に変わったのは、お金ではありませんでした。
株を始めるために、最初から100万円を用意していたわけではありません。
最初は数十万円からのスタートでした。
給料やボーナスを少しずつ積み立てながら、「株を続けるなら100万円くらいは必要らしい」という情報を信じて資金を増やしていきました。
信用取引をするなら、このくらいの余力が必要。
追証も考えると、ある程度の資金があった方がいい。
当時の私は、そんな記事やYouTubeの情報を素直に信じていました。
証券口座を開き、最初に買った銘柄はYahoo!でした。
理由は、とても単純です。
毎日使っている会社だったから。
今思えば分析なんてほとんどしていません。
決算書は読めない。
PERという言葉を少し知っている程度。
それでも、
「いよいよ、この世界に踏み込むんだ。」
買い注文のボタンを押した瞬間のドキドキは、今でも覚えています。
最初は少しずつ利益が出ました。
そして、その後に出会ったのがコロプラです。
当時、『ドラゴンクエストウォーク』が大ヒットし、アプリの売上ランキングが上がるたびに株価も上昇していきました。
証券口座の評価額が毎日のように増えていく。
約20万円の利益が出たとき、
「株って、本当に増えるんだ。」
そう素直に感動しました。
今振り返れば、この成功体験が少しずつ自信へ変わっていったのだと思います。
その後、世界はコロナ禍に入りました。
2020年初めから3月にかけて、相場は信じられない勢いで下落していきます。
でも私は、その時株を持っていませんでした。
暴落を避けられたことは幸運だったのかもしれません。
問題は、その後でした。
3月を底に、市場は想像以上のスピードで反発を始めます。
ところが、SNSやYouTubeでは、
「まだ二番底が来る。」
という声があふれていました。
私も、それを信じていました。
「今買って、また暴落したらどうしよう。」
そう思うと、一歩が踏み出せませんでした。
しかし、市場は私の予想とは逆に動きます。
マスク関連。
リモート関連。
DX関連。
次々と株価が上昇し、気付けば底値から何十%も上がっていました。
その頃には、
「今さら買うのは遅い。」
そんな気持ちになっていました。
買いたい。
でも高く感じる。
待ちたい。
でも上がり続ける。
結局、何もできない。
ただ相場を見ているだけの日々が続きました。
今振り返ると、一番大きかったのは暴落ではありませんでした。
取り残された感覚です。
「あの時買っていれば。」
「もっと早く動いていれば。」
そんな後悔が少しずつ積み重なっていきました。
株式市場には、ときどき市場全体を巻き込む大きな波がやってきます。
そんなときは、業績だけではなく、期待や話題性だけで株価が大きく動くこともあります。
当時の私は、
「この波に乗り遅れたくない。」
その気持ちばかりが大きくなっていました。
今思えば、この焦りこそが、私から冷静な判断を少しずつ奪っていたのだと思います。
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